ブログ詳細

Blog List

OT浅田健吾の臨床家ノート 在宅現場で意外と多く出くわすケース「退院当日における玄関アプローチの見落とし」

対象者さんの活動・参加に関わる動作で、“移動”についての評価を行う機会は非常に多いと思います。

ベッドからトイレまでの移動、自宅から社会参加の場までの移動といった“目的地までの移動”であったり、洗い場から浴槽への移動やレクリエーションを実施している中での移動といった“1つの活動の中での移動”など、移動といっても様々ですね。

退院支援の中でも、在宅復帰後の活動・参加を念頭に置いた移動へのアプローチはPT・OT問わず実践されていると思いますが、在宅現場で意外と多く出くわすケースが「退院当日における玄関アプローチの見落とし」です。

例えば
「支持物を使用しての平地歩行が何とか行えるようになりトイレでの排泄が可能となった」「機能障害が顕著につき歩行困難ではあるが、車いす移乗は何とか可能となった」等といったケースが自宅退院の日を迎えたものの、実は段差を伴う玄関の移動が困難で自宅前にて困り果ててしまい、結局は介護タクシーの運転手とご家族でベッドまでなんとか担いでいった…そんなケースが実は珍しくないのです。

私自身、何とか寝室まではいれたものの、その後は寝室で引きこもった生活を余儀なくされているというケースを担当したこともあります。

 これらは事前に予測されていれば、担当のケアマネジャーとともに福祉用具や人的サービスの活用が検討され、プランや事業所の調整により解決を図れた可能性が高いです。

 退院支援においては、病院から自宅に戻るところから課題抽出を始めてみるとよいでしょう。

自宅退院して一定期間後に再度外来受診で病院を訪れる事も多くありますので、自宅から病院(もしくはかかりつけの診療所等)までの往復についても情報収集が必要です。

つまり、「退院後の医療的フォローをどのように受けるか?」という評価が必要になるということです。

 在宅支援においては、訪問日以外の予定確認をケアプランのみに頼るのではなく、1か月~半年くらいの単位で『毎日ではないけど、時々行う活動・参加』の情報収集をご本人・ご家族に行うと良いかと思います。

例えば月1回の通院や、お墓参りのような時期に応じたイベント等がこれにあたります。

コロナ禍で、以前のように家屋評価や試験外泊が行いにくい医療機関もまだあるかと思います。

現場での確認が困難な時期だからこそ面談・情報収集を丁寧に行い、療法士が得意とする予測と課題抽出のスキルをフル活用していきましょう。

投稿者
浅田 健吾先生
株式会社colors of life 訪問看護ステーション彩

平成21年に関西医療技術専門学校を卒業し、作業療法士の免許取得する。
回復期・維持期の病院勤務を経て、令和元年より株式会社colors of life 訪問看護ステーション彩での勤務を開始する。
在宅におけるリハビリテーション業務に従事しながら、学会発表や同職種連携についての研究等も積極的に行っている。
大阪府作業療法士会では、地域局 中河内ブロック長や地域包括ケア委員を担当しており、東大阪市PT.OT.ST連絡協議会の理事も務めている。
平成30年からは、大阪府某市における自立支援型地域ケア会議に助言者として参加している。