PT小池隆二の臨床家ノート『訪問現場の実際』 呼吸器疾患に対する視診のポイント④
今回は、在宅現場における『呼吸器疾患に対する視診のポイント④』を説明していきます。
≪下記に該当する方は参考にしてください≫
〇呼吸器疾患の評価に対して苦手と思っている方
〇呼吸器疾患に対する評価で視診はあまり重要視していない方
【呼吸器疾患に対する視診のポイント④】
立位における呼吸状態を理解する
前回、視診のポイントとして端座位での呼吸状態を評価するということをお伝えしました。
今回は立位における姿勢と呼吸のポイントを説明していきます。
立位に関しても端座位と同様に様々な立位があります。
端座位の時と比較し、円背が増強している立位や立位保持する時に上肢支持が無ければ立位保持が出来ない状態など臨床でも多くの違いを感じていると思います。
今回は前述の二つに関してどのような点をポイントとして視診しているかをお伝えしていきます。
まず端座位と立位で円背の状態がどのように変化しているか確認します。
円背が呼吸機能に及ぼす影響は前回の端座位の時に説明しているので、忘れた方や確認出来ていない方は前回の視診のポイントを確認していください。
立位においては端座位と比較し、基本的に股関節が伸展位になるので、腹部臓器は下側(下肢の方)に移行し、呼吸機能への影響は軽減されます。
しかし立位になった時に股関節の伸展制限や体幹の支持性の低下により、端座位の時と比較し、立位でより円背が増強し、呼吸状態が悪化する時には腹部臓器の呼吸機能への影響も考えられるので、呼吸様式や努力性の有無の確認は必要かと思われます。
また併せて立位の時に腹部臓器の重さがどの方向に向いているのかということを確認すると良いと思います。
次に立位を保持する時に上肢支持の有無に関して説明していきます。
年齢を重ねることにより立位保持が困難になり、保持する時に上肢支持をしている方々は皆様も臨床でも散見していると思います。
上肢支持に関しては多くが立位の支持性を向上させるものと考えられますが、呼吸機能が低下した方では上肢支持を呼吸機能の補助として使用している方もおられます。
上肢支持をする時には支持物が骨盤付近の高さにあることが多く、上肢支持下では自然と体幹も軽度前傾位になります。
この状態では上肢や肩甲帯の重さが軽減されるということや胸郭が拡張位になりやすいということも言われております。
また立位を保持する時に上肢支持が必要と思われる方で上肢支持がなく、立位バランスを取ることに集中しなければならない方の中には立位になるだけで呼吸補助筋が硬くなる方もおられます。
立位も端座位と同様に姿勢や上肢支持の有無により呼吸機能への影響があると思い、視診を行うことで今まで評価出来ていなかったことも評価出来ると思います。
今回は立位における姿勢と呼吸のポイントをお伝えしましたので、次回からは呼吸機能に対する触診をお伝えしていきます。
投稿者
小池隆二先生
理学療法士
湖東地域医療介護連携ワーキング部会員
能登川地区医療福祉ネットワーク 企画・運営
株式会社OneMoreShip 代表取締役