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PT楠貴光の臨床家ノート 肩甲骨の機能を運動学的に考える その11

遠位部の手指・手部などに問題が生じた場合には、物の取り方、手のリーチの仕方を工夫する必要があります。

例えば、手の巧緻動作が困難な患者さまでは、テーブルの上の物を取ろうとする際、指先や手掌面をテーブル上の物品にしっかり向けようとする運動が観察されることがあります。

このとき、前腕は過度に回内し、肩関節では内旋や外転、肩甲骨では過度な外転(内旋)や挙上を伴うことがあります。

手指や手部などの遠位部の機能の影響を受け、上肢操作の運動パターンが正常動作とは異なって習慣化することは、肩甲骨機能にも二次的な問題が生じることに繋がります。

ここで評価・治療時のポイントは、常に肩甲骨は、肩関節運動と共に、肩甲骨関節窩と上腕骨頭の位置関係を良好に保つように運動すると言うことです。 

正常動作における上肢の側方挙上では、肩関節外転運動とともに肩甲骨では上方回旋が生じることで、上腕骨の運動方向に肩甲骨関節窩を向け、インピンジメントや肩関節脱臼を防ぎます。

 

また、肩関節を水平内転すると肩甲骨は外転(内旋)方向に、肩関節を水平伸展すると肩甲骨は内転(外旋)方向に運動し、上腕骨長軸の方向へ肩甲骨関節窩を向けるように肩甲骨が動きます。

 このように肩甲骨機能としては、肩甲骨関節窩と上腕骨頭の位置関係が良好に保つよう運動することが効率的であるため、遠位部の手指や手部の動き方が異なった場合には、その運動に合わせて肩甲骨の動き方も変わってくると考えられます。

 肩甲骨機能に大きな問題点が無い場合でも、肩甲骨運動は、遠位部の機能障害や、肩関節の運動によって異なる可能性があり、その関係性から二次的にどのような問題点が生じる可能性があるのかを理解することが重要になります。

 

投稿者
楠 貴光先生

六地蔵総合病院 リハビリテーション科
上肢機能に関する学会・論文発表が多数
臨床と研究を組み合わせて高いリハビリテーション効果を出している若手臨床家