PT山口剛司の臨床家ノート26 偏平足とテーピング
既に扁平足=悪い足ではないということは、何度お伝えしてきており、私はどのセミナーにおいても扁平足を肯定するような話をしてきました。
扁平足がすべて悪いという考え方は、本当に間違った評価をしているように思います。
間違ったというよりもきちんと評価できていないといった方がよいかもしれません。
では、悪い扁平足とはどんなものかというと、扁平足で、尚且つ足部機能が十分に発揮できておらず、姿勢がコントロールできない場合をいいます。
これは、つまり土台である足部が安定したアライメントを保持することができず、荷重点が不安定な状態をいいます。
特に扁平足の場合は、足部のあらゆる関節が回内方向へ過剰に運動するという特徴があり、その結果、回内方向にも回外方向にも容易に大きく動いてしまい、その運動が上向性の連鎖となって身体運動に大きく影響することを多く経験します。
この場合は、テーピング施行によっても大きな機能変化を見込めます。
具体的には、過剰な回内運動を制動するようなテーピングを一枚貼付すれば驚くほど変化を認めるようになります。
例えば、扁平足だと内側縦アーチを高くするテーピングを貼る!ことに徹する場合もあるかもしれませんが、私はこれには反対です。制動する方向は極力絞って最小限に、がポイントです。
これは、私が提唱している4つの動作項目のチェックにより、足部の機能評価が明確となります。
次にテーピングはどちらか一方を貼れば良いでしょう。回内制動テープの選択肢は二つです。
①後足部を中心とした回内制動
②中足部前足部も含めた回内制動
①後足部の回内制動テープ
◎後足部で内側縦アーチを支持する
イメージ
・回内運動の制限(回外誘導)
・内側縦アーチ保持
・前足部への荷重
・小趾側荷重への誘導 ※踵骨骨端にかかりすぎる回内誘導してしまうので注意!
◎小趾側(第5中足骨遠位)から前足部を
回外するイメージ
・小趾側荷重機能の改善(前足部回外)
・内反筋群の活性化(後脛骨筋)
・後足部の回内制動(回外誘導) ※回内制動テープを前足部まで延長して貼付すると二重作用が得られる
執筆者
山口剛司 PT, mysole®Grand Meister
Altruist 代表
理学療法士
フットケアコンサルタント
足部・足関節の関節可動域、筋力、アライメントなどの関節機能や歩行などの動作分析を行い、個人に適したインソールを作成するという足部・足関節のスペシャリストである。