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OT浅田健吾の臨床家ノート 目標設定のポイント

今回からは、我々セラピストが対象者の方と共に『目標設定』を行う上で抑えるべきポイントについて解説していきます。

まずは「4つの“安”」についてです。 

セラピストだけに限らず、看護師やケアマネジャーを含むその他の職種もよく使う「安心・安全・安楽・安定」という言葉があります。

これらは、計画書や報告書の中でも安易に使われる事が多い印象にあります。例えば「安心して日々の生活が送れるようになる」「安楽な座位姿勢が保てるようになる」「歩行の安定性の向上」「ADLの安全性向上」等、皆さんも目にすることはありませんか?

 しかしこれらの目標は、そもそも目標と言えるのでしょうか?

これらは、目標ではなく“願望”ではないでしょうか?

目標とは、「行動を進めるにあたって、実現・達成をめざす水準」(デジタル大辞泉)とあります。水準というのは、価値や能力などを定めるときの標準となる程度・レベルの事です。これらをもとに考えると、上記の目標は“程度・レベル”を示せていません。

「安心」であれば、不安の対象何でしょうか?何がどうなれば、本人は安心できるでしょうか?

「安全」は、何をしている時にどのような危険が生じているでしょうか?どうなれば、危険を回避できるでしょうか?

「安楽」は、どんな時の安楽でしょうか? 楽になれない、もしくは苦痛が生じている原因は何で、どうなればご本人は「楽になった」と感じれるでしょうか?

「安定」は、何がどのような状態にあれば安定したと言えるでしょうか?ご本人にとっての不安定な状態とは、どのような状態を指すでしょうか?

上記のように、何を持って「安心・安全・安楽・安定」となるのかを具体的に文言化する事が、目標設定の支援においては重要であると考えます。

どうしても「安心・安全・安楽・安定」のいずれかを使用しなければならない場合は、注釈でそれらの目安となる状態を付け加えるようにすると良いでしょう。

※例:車椅子から便座への移乗動作の安定性が向上する(手すりを把持した状態で、10秒程度の単独立位保持が可能になる)

投稿者
浅田 健吾先生
株式会社colors of life 訪問看護ステーション彩

平成21年に関西医療技術専門学校を卒業し、作業療法士の免許取得する。
回復期・維持期の病院勤務を経て、令和元年より株式会社colors of life 訪問看護ステーション彩での勤務を開始する。
在宅におけるリハビリテーション業務に従事しながら、学会発表や同職種連携についての研究等も積極的に行っている。
大阪府作業療法士会では、地域局 中河内ブロック長や地域包括ケア委員を担当しており、東大阪市PT.OT.ST連絡協議会の理事も務めている。
平成30年からは、大阪府某市における自立支援型地域ケア会議に助言者として参加している。